12 花




花を育てようと思った。

僕の小さな窓辺にも、春が来ることを証明してみたかった。

小さな鉢植えの苗を買ってきた。
次の日から、そいつは、毎朝、
僕の目覚めを待っていた。

朝起きると、コップ一杯の水をやった。
他にも何か世話を焼いてやりたいと思ったけど
何をしてやればいいか、思いつかなかった。

だから、毎朝、そいつは僕の目覚めを待ち、
僕は毎日、コップ一杯の水をやった。

ある朝、僕は、背が高くなったそいつの頭に
小さな蕾が付いているのを見つけた。

ぼくは、いつものようにコップ一杯の水をやると、
いそいそと本屋へ出かけた。
どうしても、その蕾を咲かせたかった。
だから、咲かせ方の載っている本を探したんだ。

本には、こう書いてあった。

「下の葉を、2、3枚切り取る。
 そして、肥料を3粒与える。」

ぼくは、急いでその肥料を買いに走った。
(本は買わなかった)
そして、肥料を3粒、やつの足下の土に埋めた。

それから、僕は迷った。
こいつの葉を2、3枚、切り取らなければいけない。

僕はハサミを握った。

そして、チョキチョキと、切る振りをして音だけ立ててみた。

やつは、怖がっているように思えた。

僕は、ハサミを引き出しにしまった。


その3日後。
そいつは、きれいな紫の花を咲かせた。  




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